オリガ・モリソヴナの反語法
米原万里“オリガ・モリソヴナの反語法”(→amazon)読了。
米原万里唯一のフィクション。
内容は、1960年代にチェコスロバキアのプラハ・ソビエト学校に在学していた主人公“志麻”が、約30年後、在学当時のリトミカ教師、個性的な反語法で生徒を強烈に罵倒する“オリガ・モリソヴナ”の謎(軌跡)を追うという主線に、追跡の過程で行き当たる、スターリンの大粛清(→wikipedia)、大粛清時代の強制収容所の実態、孤児ら大粛清の被害者、その後のソ連(ロシア)の社会的な変動といった伏線を絡ませたもので、息もつかせぬ展開。
そういえば、私が初めて手にした世界地図には、堂々と“ソビエト社会主義共和国連邦”の名があったし、もちろん“チェコスロバキア”の国名も存在していた。
国の名前が変わることがあるなんて、当時は思いもよらなかった…。
ちなみに、文庫版には、池澤夏樹との対談も収録されている。
その中で話題になる、チェチェン問題を追求し続けた、ロシア人ジャーナリスト“アンナ・ポリトコフスカヤ”(→wikipedia)を何気なく調べてみたら、“ロシアでは1999年から2006年までに128人のジャーナリストが死亡・もしくは行方不明となって”いる(→ウラジーミル・プーチン@wikipedia)という記事に遭遇。歴史は断絶し得ない。