海上からの押し売り
海岸で釣りをしつつ子どもと遊んでいたら、沖の方から漁船が近づいてきた。
“泳ぐ泳ぐ”“来い来い”をジェスチャーでしきりと繰り返す老女。てっきり、この砂浜が海水浴場のため釣りを禁止してるのかと思いつつ、漁船に近づくと、“3尾1000円、とりあえず舟上に登って魚だけでも見ろ”と、長い洗濯板のような板を舟上から砂浜へ伸ばす。
おぼつかない足取りで舟上に登ると、大きい魚が悠々泳いでいる。
“鰺、3尾1000円”“えっ、鰺??どこに?”“これさ、これ(鰺に見えない大きさ)”“食べきれないし2尾なら”“話が通じんのぉ、すっきり3尾にすりゃええに”“でも食べきれる量がいいから…”と交渉していると、いつの間にか周りに数人集まってきて、“4尾”、“3尾”と銘々の希望を告げる。
“ま~ぁ、すっきりせんのぉ”と老女はブツブツ言いつつ、曲がりかけた腰をかがめてチャチャっと鰺をすくってはしめ、袋に入れて渡してくれた。
3尾1000円、4尾1400円にはビックリしたけれど。
“まぁいいわ”と値切り交渉もせず、言い値で買っていく島の人にもビックリの、海上からの押し売り話。
刺身とフライで美味しく頂きました。
あまりに大きかったのでキャベツと写真を撮ったら“君の感覚がわからない”と彼に首をひねられる始末…。