烏賊を炊く
若烏賊8杯298円也。ということで、烏賊のお腹にだまこもち(秋田のきりたんぽの団子状のもの)を入れ、大根と一緒に炊く。
……小学生の頃、実家の近所にイキちゃんという同学年の友達がいて、(その年頃の常として)しょっちゅう喧嘩しながらも一緒に遊ぶ仲だった。で、そのイキちゃんちには四六時中怒鳴っているような怖いバァ様がいて、(私もよく怒鳴られたけれど)イキちゃんや彼女の弟が片耳を引っ張られて泣きながら家に引きずられていくのは近所で見慣れた光景になっていた。
ある日、彼女と遊んでいるとバァ様が近づいてくるので、二人して“何を怒られるんだろう”と身を固くしていたら、“沢山炊けたから”と烏賊飯を置いて帰っていったことがある。
ずっしりとご飯が詰まった烏賊飯は味が程よくしみて、本当に美味しかった。
ほどなくバァ様は倒れ、泉門に入られた。
烏賊を炊くと、怖かったバァ様や、バァ様の通夜の席でイキちゃんと弟がひきつけを起こさんばかりに泣いていたことなんかが思いだされて、ちょっと切ない。