歩くひと_ヒロクレ日記

旅した土地の思いで 子どもと暮らす 日々雑記

着物(袷)に挑戦

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七五三の記念に、着物(袷)と被布縫いに挑戦する。

学生の時分、曲がりなりにも近世文学を志していたように思うのだけど、着物に対するこの無知っぷりは何だ。

各所の名前も知らなかったが、おくみだ、かけ衿だと思っていた以上に細やかな仕立てな上、肩あげ・腰あげによって身体にフィットしたセミオーダーになる柔軟性があることも初めて知る。

布地は主に、布がたり(http://www.nunogatari.co.jp/)さんから購入。

被布は綿入りで。本来被布の飾りは2つなのだそうだが、被布の衿の寸法を間違えてしまったために、バラけた印象に(正月に着るようなら衿元は直そう)。背守はちりめんの梅をあしらった。

着物の伊達衿はリボン。

襦袢は青の鹿子で、手ぬぐいを利用。半襟をかける。

下駄は子どもと一緒にお店に選びに行った。何の迷いもなく、その場にあった一番お高い下駄を“これがいい”とのたまう。“お高い目”をお持ちで…。

着物を縫ったのは、七五三に特別の思い入れがあるのではなく、写真屋さんで撮影のために無理矢理着せる着物に何となく抵抗があったからだ。

ともあれイベントは、参加すると楽しいもので、夜なべ仕事の甲斐もあったと思う。

ところで、襦袢と言えば、家人に与謝野晶子の情熱的な詩を教えてもらった。

当時、当時としてはあまりに衝撃的な内容だったのではないかしらん??

やっぱり熱くて激しい人なんだなぁ…。

↓(与謝野晶子“ひとり寝”)

与謝野晶子詩篇全集】青空文庫http://www.aozora.gr.jp/)より

ひとり寝

良人(をつと)の留守の一人(ひとり)寝に、

わたしは何(なに)を著(き)て寝よう。

日本の女のすべて著(き)る

じみな寝間著(ねまき)はみすぼらし、

非人(ひにん)の姿「死」の下絵、

わが子の前もけすさまじ。

わたしは矢張(やはり)ちりめんの

夜明(よあけ)の色の茜染(あかねぞめ)、

長襦袢(ながじゆばん)をば選びましよ。

重い狭霧(さぎり)がしつとりと

花に降るよな肌ざはり、

女に生れたしあはせも

これを著(き)るたび思はれる。

斜(はす)に裾(すそ)曳(ひ)く長襦袢(ながじゆばん)、

つい解けかかる襟もとを

軽く合せるその時は、

何(なん)のあてなくあこがれて

若さに逸(はや)るたましひを

じつと抑(おさ)へる心もち。

それに、わたしの好きなのは、

白蝋(はくらふ)の灯(ひ)にてらされた

夢見ごころの長襦袢(ながじゆばん)、

この匂(にほ)はしい明りゆゑ、

君なき閨(ねや)もみじろげば

息づむまでに艶(なまめ)かし。

児等(こら)が寝すがた、今一度、

見まはしながら灯(ひ)をば消し、

寒い二月の床(とこ)のうへ、

こぼれる脛(はぎ)を裾(すそ)に巻き、

つつましやかに足曲げて、

夜著(よぎ)を被(かづ)けば、可笑(をか)しくも

君を見初(みそ)めたその頃(ころ)の

娘ごころに帰りゆく。

旅の良人(をつと)も、今ごろは

巴里(パリイ)の宿のまどろみに、

極楽鳥の姿する

わたしを夢に見てゐるか。