死闘
家人たちの寝静まった深夜、風呂で1人、長旅の疲れを癒していたムサシは、背後に殺気を感じた。
ゆっくりと振り返るムサシ。
と、そこには宿命の好敵手、佐々木ゴキ郎の姿が!!
一寸息をのむも、冷静を装って風呂を後にしたムサシは、その足で禁断の飛び道具=“必殺Gジェット”を必死に探した。
しかし、無い。
実は、佐々木1匹1本の勢いでGジェットを狂乱射するムサシ(とその家族)の健康を気遣って(か、嫌がらせなのか)彼の妻が隠していたのだ。
手元に残るは無毒な“氷殺”のみ。しかし、佐々木はやらねばならぬ敵。
ムサシは“氷殺”を手に立ち上がった。
風呂の扉を開け、佐々木を捜す。が、既に佐々木の姿は無い。
“おのれ、佐々木卑怯なり!”一撃入魂の勢いで“氷殺”を撒き散らすも、佐々木は依然、姿を見せない。
“そうだ、ここは風呂。氷結攻めの後は、熱湯攻めだ!”思い立ったムサシは、おもむろに給湯器に手をのばした。
ボン!
かなりの爆発音だったらしい。
我に返った彼が、“氷殺”の缶を見ると、赤枠白抜きで“火気と高温に注意”の文字が…。
かくて、佐々木は去り、彼と彼の孤軍奮闘のあとが残った。
でも、“ボン”で済んで本当に良かった。全行程約2600kmの旅を無事終えて帰宅したその日に、ガス爆発なんて洒落にならないよ。