彼が、上目つかいで私を見つつ、指をピースの形に2本たて、合掌する。
“モノがホントすごいんだから。見てみ、絶対入れる価値あるって”
とは、ネットオークションの話。
その後、彼の執念の追跡で、モノは“平家物語”の古活字版(欠巻2冊は整版の取り合わせ本)。古活字版は、某大学所蔵のものと同版らしきことなども判り、初めて、高額入札を試みることに…。
胸の高鳴りを抑えつつ、ことの成り行きを見守ること数日、ついに、オークション終了6分前目指して入札!
……も、全くお呼びではありませんでした。
玄人めいた2人が、渋い入札合戦を繰り広げるさなか、ポン♪と高額の横槍が入り、入札額が倍増。
おぅおぅ、ここまでかけ離れてしまうと、もう口惜しさの欠片もないもので、あとはひたすら、玄人と思しき人物の落札を願うのみ。
久々、スリリングな夜が更けてゆくのでありました。