歩くひと_ヒロクレ日記

旅した土地の思いで 子どもと暮らす 日々雑記

明 TOMORROW 日

黒木和雄監督の戦争三部作“TOMORROW 明日”(1988)を見る。先に見た“父と暮らせば”と同様原作(井上光晴「明日・1945年8月8日・長崎」)の実写化。 原爆投下前日の8月8日に祝言をあげた若夫婦を中心に、市井の人々の日常の生活(無邪気に遊ぶ子どもたち・出産・出征する若者とその恋人や家族・捕虜となった外国人兵士ら)を静かに淡々と描くこの作品は、8月9日午前11時02分の閃光で幕を下ろす。 冒頭の“人間は 父や母のように 霧のごとくに 消されてしまって よいのだろうか”(若松小夜子「長崎の証言・5」の言葉が胸を突く。 早くから原爆投下候補地となっていた広島は、その威力を測るために投下予定数ヶ月前(5月28日)からは空爆が控えられていたという(広島平和記念資料館展示)より。対して長崎は、ソ連の参戦に合わせて投下日時が繰り上がったという。 戦後60年。苦しみながらも体験を語り継ごうとする人々の傍らで、世相が、隣人の傷みにますます鈍感になっていくようで怖い(自戒もこめて)。